SUZUlog

広報ご担当者さまへ:貴社に "ちょうどいい" デザイナーの見極め方5つのステップ

広報ご担当者さまへ:貴社に "ちょうどいい" デザイナーの見極め方 5ステップ

こんにちは。

SUZUdesignグラフィックデザイナーの岡野です。

 

突然ですが、全国の販促・広報に携わるデザイン発注者のみなさま
デザイナー、もしくは制作会社をどのように探されていますか?

 

私は、会社員時代はタイプの異なる3社(WEB制作会社、ブランディング会社、代理店)を経験したのちにフリーランスになり、さらに客先常駐として、化粧品会社のインハウス、プロダクション、デザイン会社など様々な種類の事業所にて業務を遂行してきました。

現在は、完全リモートで代理店さんから案件をご紹介いただいたり、お客様から直接お問い合わせをいただいたりして、広告物や販促物、つまり、パンフレットやチラシ・名刺などの紙媒体や、WEBサイト・アプリ等のデザイン、企画を手がけております。

時にはこちらからメールをするなどして、サイトの導線や構成の組み方が気になった企業様、店舗様にお声がけすること(営業ですね)もしております。

ありがたいことにそれにお返事をいただいて、ご依頼に結びつく/つかないに限らずヒアリングをするのですが、
お客様が広告・販促物のデザインを依頼することに関して「ああ、これは確かにそうだな」と思うことがありましたので、今日はそのお話を。

 

 

1. デザイン発注者様の、デザイナーに対するホンネ。

たとえば、

「チラシ、会社案内のパンフレットを作りたいが、自分たちではどうするべきなのかわからないから依頼したい。でも、デザイナーなんてたくさんいるので、誰がいいのか、どう探すべきか、どう見極めるべきかわからない」

といったお声を良く耳にします。

それがお客様の抱えるひとつのお悩みであり、ご依頼に二の足を踏む原因でもあり、さらに本音を言うとすると、

「チラシひとつ依頼するだけで嫌な想いをしたくないし、値段もそこそこで、でも安っぽいのにはしたくないし、ちゃんと提案もしてほしいんだよね」

ひと言でいうならば、

ちょうどいいデザイナーさんと出会いたい!!

んですよね。お客様は。

 

余談ですが、大規模かつ予算が(比較的)潤沢にある大企業さんの話からざっくりとしてみます。興味がなかったら読み飛ばして次の見出し(*本題)へ
*下記に限りません。とある例のひとつとしてとらえてください。一部脚色もありますので悪しからず!

たとえば、

 TVやWEB動画に飛び込んでくるCMをバンバン打っている大手企業

ともなれば、おおよそは、大手広告代理店や名の知れたプロダクションと長期契約を締結の上、それにまつわる業務を委託している場合がほとんどです。
私から見れば桁違いの広告予算を伝えられ、その中で動けることを大胆かつ緻密に計算しながら制作に入っていきます。
大手広告代理店(*以下、有名プロダクションもこの言葉の類として "大手広告代理店" と記載します)の実働としては、キービジュアル(=広告対象の商品、プロジェクトを視覚的に表現する "顔" となる概念の構築とその制作→ポスターやCM、パッケージ、チラシ等に流用するものになりますの制作に注力し、
その他、商品パッケージや、それを市場で販促するためのチラシや店頭POP等の細かなデザイン案件も、大手代理店がいったん掴み、捌き切れない分の制作は下請け下請け&下請けに降りていく...というような構造です。
その企業のネームバリューを守るため、制作陣たちは昼も夜も関係なく文字通り身を削って従事し、個々の持ち寄る知識と経験を惜しみなくフル活用し、素晴らしいクリエイティブを日々生み出しています。

正直、大手代理店にご依頼されれば、おなかいっぱいになるくらいの数の案を企画提案してくれ、数えたくなくなるほどのリテイクおよび無茶振りを投げても大抵は打ち返してくれ、ほぼ間違いのないものを納品してくれます。

*どんな制作会社に対しても無茶振りは極力やめましょう。

でも、このような莫大な資金を必要とする依頼の仕方ができる企業様は、ひと握りです。 

「D通?HH堂?KS和さん? そんなん無理に決まっとろうが(怒)なんぼかかんねん!!」

...と、私でも思います。

冒頭のものを繰り返しますが、

ちょうどいいデザイナーさんと出会いたい!!

んですよね。

あと欲を言えば、

予算内に抑えられて、優しくて、でもちゃんとしっかりハンドリングはしてくれて、それでいてこちらの言いたいことを体現してくれる、総合的に満足度の高いデザイナーさんがいい!!!

んですよね。了解です。出会っていきましょう。

 

2. 「ちょうどいいデザイナーと出会いたい!」デザイナーの見極め方5つのステップ

日本における大半の中小企業様、店舗様の中で、

「じゃあいきなり超有名大手代理店○社に依頼して、大々的にPRさせようか!!」

となる企業さんはなかなかの少数派ではないかな、と思います。

なのでそれ故に、大手広告代理店へ依頼するという選択肢を外した場合、
デザイン制作会社やプロダクション、クリエイティブチーム、はたまたフリーランスでデザイン業を営む方は星の数ほどおり、その膨大な数の中から良い関係性を築けるデザイナーと出会うのは、大変だし、「骨の折れる作業だなぁ」「めんどくさいなぁ」と思ってしまうのは無理もありません。
また、双方の相性や作品性の趣向、得意分野も多種多様なので、一概に「こう探すのがベスト!」「絶対この人(会社)がいいよ!」とも言えないのが辛いところなのですが、
「こういった点に気をつけながら探してみては?」と提示することは可能です。

今回は、デザイナーの見極め方や抑えておきたいポイントを5つのフローで紹介していきますので、ぜひ貴社の想いを形作ってくれる素敵なデザイナーさんと出会ってくださいね。

ちなみに肝心の「何処で探すか」というのは別記事にて記載しましたので、併せてどうぞ。

*以下、『制作(デザイン)会社』『プロダクション』『フリーランス』『クリエイターチーム』等は、便宜上 "デザイナー" と表記いたします

 

#0 〜フローのプロローグとして〜

まず、フローを展開するのにわかりやすくするため、依頼例を下記とします。

経営しているビストロの2号店をちょうど3ヶ月後に新規オープンさせるにあたり、その告知のためのチラシを作りたい。
遅くともオープンの1ヶ月前には常連さんや周辺地域の住宅に順次配りだしたいので、納品は今から2ヶ月後がマスト。「どんな内容を入れるか」から相談したく、さらに店内外の写真、数点のおすすめ料理の写真をも載せたい。裏表印刷にしたい。比較的単価の高い店なので、それなりのクオリティで、撮影もプロに依頼したい。部数は2000部を希望。全体の予算は10万円前後。

たとえば、ご依頼者さまが上記のような販促ツール(=この場合はチラシです)を必要としていたとします。以下は、この依頼例を軸にして話を進めていきます。

また下記の3点を最低限、デザイナーに依頼、もしくは見積もり依頼する際にお伝えする、ということを覚えておいてください。

 広告・販促物の制作にかけられるご予算

 納期(納品してほしい日)と、それを実際に使い始めたい日

 デザインに入れる要素(構成、写真、テキストなど)の持ち合わせの有無

もちろん、見積もりを詰めるときにはさらに詳細な情報が必要になってきますが、ファーストコンタクトでは最低限上の3つが揃っていれば誰も悲しみません。

それでは、そんなことを踏まえた上で、さっそくデザイナーの見極め方、探し方を見ていきましょう。

 

#1 得意分野を明確にできるデザイナーに絞る

たとえば、WEBの検索エンジンから探す際、結果一覧には膨大な数のデザイナーの、WEBサイトへ誘導する文言とURLが並びますね。
ひとつひとつURLをクリックして見なければ、どんなデザイナーがいて、どんなものを作れるのかわかりません。

そこでまずやって欲しいことは、デザイナーを絞った上で比較検討していくことです。

ケーススタディでは2号店オープン告知のためのチラシを作りたいので、
『ショップのチラシ、フライヤーの制作が強みです』など、貴社の欲しい分野の販促ツール制作が得意であると明記しているデザイナーを重点的にチェックし、絞っていってください。

「チラシ、パンフレット、パッケージ、...etc、WEB、アプリ、ロゴ、...etc、何でもかんでもすべてできます」
「あれもこれも全部、なんでもお任せください」
とむやみやたらにうたっている業者は、特にフリーランス、一見とても頼りになるように感じられますが、"万人に受けたい"、"とにかく窓口を広げておきたい" スタンスであることが多く、まず集客すること・問い合わせをさせることに重きを置いています(*事業ブランディングの一貫で、トータルに制作できるということに関してはまた話が違ってきますので、それはまた別の記事で)

つまるところ、実作業をほとんど又外注された挙句、さらにその当人が伝書鳩化してろくにディレクションしてくれない...「いや、そんなんだったらそのデザイナーさんに直接繋いでくれよ...」、なんてことになる可能性も。そうすると何が起こるのかというと、「こちらのやってほしいことが全然伝わっていないじゃないか!」となりかねません。
さらに、この部分は必ず当然事業規模(=就業人数)と合わせて見て欲しいのですが、「なんでもできます!!」とうたっているデザイナーが小規模であればあるほど、上記の理由から避けた方が無難です。
逆に言えば、30名を超える就業者がいるような制作会社であれば、ある程度分業化されているため決して排除する要因ではないので、ストックしておきましょう。

もちろん、検索エンジンに限った話ではありません。
クラウドソーシングにおいても、初めて対面で会う場面に対しても、上記と同様のことが言えるので、覚えておいてください。

 

#2 そのデザイナーの作品をくまなく見る

上記の項目のように、貴社の希望する販促ツールが得意なデザイナーを絞れましたか?

そうしたら、ピックアップしたデザイナーのホームページにある作品集へアクセスしてみてください。
作品="ポートフォリオ Portfolio" だったり "ギャラリー Gallery" または "ワークス Works" とおおよそは記載されています。
万が一、作品をひとつもアップしていないデザイナーは、そのHPがとてつもなく素晴らしいものでない限りは、時間のロスにもなり兼ねないのでリストから外しても構いません。

この時点では、そのHPがいかに綺麗か、いかに綺麗な見せ方をしているかよりも、複数アップされているであろうその作品たちを総合的にチェックしてみてください。

 「広告・販促物を依頼するにあたり、『こういうのが理想だなぁ』『こういうの作ってほしいなぁ』と思えるようなものを、このデザイナーは作ったことがあるか」

 「作品の画像をただ貼るのみではなく、そこに制作コンセプトのキャプション、説明は添えられているか」

 「各作品の全体的な質(「美しい、整合性が取れている」などと感じられるかどうか)はクリアしているか」

作品集は、そのデザイナーに依頼する際のカタログにもなりえます。
貴社の希望するデザインを叶えてくれそうなデザイナーを検討リストに残しましょう。

ケーススタディでは『単価の高いビストロの2号店オープンの告知チラシ』を作りたいので高級感を保ちつつも、周辺の住人にも配布したいとのことから、まずは興味を持ってもらえるくらいのカジュアルさも要素としては必要、になってくるかと推測できます。お客様が作りたいデザインのイメージを、漠然と頭に浮かべながらリサーチしてみてください。

 

#3 デザイナーの人柄を確認する。コンセプトは掲げているか?

デザイナーの作品集を見て、さらに検討リストは絞れましたか?

それでは次に、ピックアップしたデザイナーのWEBサイトに書かれたコンセプトを見てみてください。これは、そのデザイナーがどんな想いや軸、理念を持って業務に当たっているのかを見るフローです。
"コンセプト Concept" のページを設けているデザイナーもいれば、自己紹介の文中や "アバウト About" に大体は記載されています。
もしこのデザイナーにチラシの作成を依頼したら、何からどう始まっていくのか、どういった経緯にて形にされるのか、また作り手がどういった気概、意欲を持って携わってくれるのか、そういったことを、コンセプトを読んでみて想像できますでしょうか。
もし、それを読んで「ん?」と違和感をもったり、不安を感じたり、「当社とはちょっと(いろんな意味で)合わないのでは*1」と判断ができる何かがあったら、そのデザイナーは思い切ってリストから外してください。

どんなコンセプトや理念を持って仕事をしているか、という事実はもとより、そのデザイナーがどんな人か、自身のデザイナーとしての在り方をどう捉えているか、を知り、判断できるかと思います。
そういった意味で、ブログやSNSのリンクを辿っていき、その "人となり" を見るのは十分に有効な手段です。

*1 「堅苦しすぎる」「いいことばっかり並べすぎ」「おちゃらけた雰囲気が鼻につく」「スピリチュアルな印象があって全体的に不安」など

 

#4 制作フローとそれに基づいた納期、そして納品方法を確かめる

ここまでのフローで、リストを5つ以内に絞れていたら楽ですね。

ここからは、実際にデザイナーにコンタクトをとる段階に移ります。
新規で発注先を決めていくにあたって、大事な確認要素となるのは "納期""価格" です。
まずは納期、スケジュール感の面から見ていきましょう。
*「予算の方が重要なんだけど」といったお客様は、先に次の項目をご覧いただいても構いません

引き続き、ケーススタディのチラシを例にとって話を進めていきますね(忘れてしまった方は、プロローグの#0へ)。
構成からデザイン、さらに料理の撮影まで依頼したく、チラシそのものの納品希望は今から2ヶ月後、といったケースです。

仮に、お客様の方でデザインに入れ込みたい内容(構成)や写真、テキスト等の素材をお持ちの場合は、それらを概要と共にお送りしてくだされば制作側の作業量はおおよそデザインのみになるので、比較的仕上がりおよび納品も早くなりますが、
ケーススタディの内容からすると、

 2号店新オープンの成功(=まずはオープン時の呼び込み)を模索・リサーチし、
 明瞭かつ効果的な構成を組み立て、
 ユーザーの心理に働きかけるデザインを起こし、
 さらに見栄えのする料理写真の撮影も入り、
 印刷工程へ

といった流れになります。
特に上記の工程3は、デザイン着手してからご依頼者様がそのデザインに納得がいくまで修正を重ねる段階なので、ここだけで多く見積もると10日前後はかかると見ます。

つまりここで何を判断するかと言うと、なんでもいいから仕事を取りたい or 余力のある(≒暇な)デザイナーは「できますよ!」と必ず返してきますが、納期までの2ヶ月間、お客様の希望納期から逆算し、この案件にかかる時間はいかほどかを精査した上でしっかりとスケジュールを確保し(フリーのデザイナーだと、多忙であればそもそも受注NGの場合もあるのでご了承を!)、さらにそれを明確に示してくれるデザイナーを選んでください。

スケジュール管理、ハンドリングができる/できないは、案件を完遂させる/させられないの鍵となります。

 

#5 価格(見積もり)は、デザイナーの "品質" と "誠実さ" と "適正な価値設定" から判断する

デザイナーがスケジュールを確保できるとなったら、さて、そのデザイナーに依頼するといくらになるか。いよいよ予算とのにらめっこです。

ケーススタディの例を見ると、

・構成の構築(=ディレクション
・デザイン
・撮影の手配〜準備〜立会い
・印刷手配から郵送まで

上記の依頼内容で、かつ販促にかけられる予算は10万円前後。印刷の仕様とポスティング等の配布方法をいかにするかの部分を調整すれば、もちろん叶えられる金額です。

話は少し逸れますが、お客様のヒアリングをしている中で「そもそも、クリエイティブにかかる費用の相場が全然わからないので、下手に予算額を言えないんだよね」と、言われたことがあります。

これ、
何にも気にしないでそのままお伝えいただいて大丈夫です。

デザイン金額、予算の件に関しては、語ると長くなるので次回にまわして今回は簡潔に書きますが、
もし予算以外はすべてクリアしているほど気に入ったデザイナーに、予算を上回る金額を告げられたら、お客様の方が「ああ無理だ」と、おそらくそこで諦めてしまわれますよね。それってすごくもったいないんですよ
多くの優良なデザイナーは、お客様が作りたい販促物に対し、それ(=広告・販促費)にかけられる金額を、まず知りたいんです。

お客様が、デザインにかかる費用を知らないなんて当然のことで、その価値観の違いや誤差を縮めていく、伝えていくのは、我々制作側の仕事であり使命です。

仮に、お客様のやりたいこととその費用感が(あまりにもかけ離れすぎていて)合わないね、となった際、お客様の提示したご予算の中でできる理想に近づける最適な方法を、もしくは、多少ご予算を超えるとしたときに叶えられることを明確にして誠実に示してくれるデザイナーを、最終的に選んでください。
それで、その返答に納得がいかなければそのデザイナーを切ってください。

そして、注意事項をふたつ。

 間違っても、お客様が大幅に予算オーバーになってまで、そのデザイナーの言い値のままご依頼されることは、お避けください。

 反対に、デザイナー自身で定めている設定価格より、デザイナー側が無理をして大幅に値下げをするという事態になってまでご依頼されることも、お避けください。

前者に関しては、貴社のことなので明確ですね。
後者に関しては、やはり、制作側もどこかで「その金額に見合う仕事の仕方を」と、長年の就労で身につけております。無理のない金額で請け負うからこそ、お客様の望むクリエイティブを存分に生み出すことができます。初期のすれ違いがのちのちにも食い込んできて、ご依頼者様の方に遠慮が生まれてしまったり、案件の途中で大かれ少なかれ意思疎通に問題が生じたりします。
双方が、納得のいく形で案件が遂行できるデザイナーにお仕事をご依頼されてください。

 

3. おわりに。

クオリティも人柄も申し分なく、さらに価格に納得のいくデザイナーを見つけられたでしょうか。

「デザイン頼みたいけどどうしたらいいかわからないよ」
「いいデザイナーさんってどこで出会えるのかわからないよ」
といった声が、中小企業様、個人店舗様サイドから多く見受けられており、なんとか制作側との溝を埋めたくてこんな記事を書いてみました。

伝えたいことが多すぎて、いろいろと盛り込んだようで端折ったような記事になってしまいましたが、今後、各ステップを補足できるような記事も随時アップしていけたらと思っております。
また、不明な点やご質問がありましたらご遠慮なくお知らせください。
こちらへのコメントでも結構ですし、
SUZUdesignのお問い合わせページからもご連絡いただけます。

たくさんの企業様、店舗様に、デザインのチカラを届けていけるような発信を、引き続きSUZUdesignはしていきます。